Pages

2015/03/24

コナラの赤ん坊と甲虫の幼虫とアカネズミと



今日は、早春の里山で出合う「アカネズミ」と「コナラ」と「甲虫の幼虫」の話をしたい。
 
 とは言っても、彼らの姿をガチで見るのではない。互いにつながり合ったその痕跡を見るのである。

 大学を囲む里山では、雪が溶けた地面のそこかしこに、アカネズミがコナラの堅果(ドングリ)を食べた痕跡が見つかる。中身を被っていた殻や、殻をむいたけれども、結局、食べなかった中身・・・そんなものが集まった痕跡(場所)である。

 下の写真は、ある痕跡(場所)の中で見つけた、「アカネズミ」と「コナラ」と「甲虫の幼虫」の密やかなつながりを示すコナラの赤ん坊である。

 皆さん、ご存じだっただろうか。コナラのドングリの中身というのは、コナラの赤ん坊の葉っぱ(子葉)だったことを。

 葉っぱの中に母親がくれた栄養がいっぱい詰まって半球になり、その半球状の二枚の葉っぱが合わさって、丸いドングリの中身になるのだ。
 アカネズミは、この栄養が詰め込まれた、この葉っぱを齧って食べるのだ。

写真の中で、半球状の葉っぱは開き、左右それぞれの葉を支える葉柄が出合うところに、新しい芽が出はじめている(*の矢印の先だ)。

そして葉っぱの真ん中には、内側が黒ずんだ穴が見える。
きっと、左右の葉っぱがまだ閉じて、丸いドングリだった頃、中身に産み付けられていた甲虫の卵から孵化した幼虫が、内側から葉っぱを食べていったのだろう。


やがて、成長した幼虫は、ドングリから外へ出るため、外へとつながる一本の道を掘っていき、めでたく#の矢印の先に開口した穴から外へ出ていったと思われる。
アカネズミがせっかく剥いたドングリの中身を食べなかったのは、中が虫に食べられていることを見抜いたからかもしれない。

 こんな動物や植物のつながりを、われわれは生態系と呼ぶ。(サイゴ、バッチリキマッタナ)