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2015/06/30

モモンガ、ヒマワリの実を襲撃する(動画)




上の写真は何を物語っているかお分かりになるだろうか?
 下の写真は何を物語っているかお分かりになるだろうか?

 多分、お分かりにならないだろう。私も突然見せられたら分からないだろう。

 実は、両方とも、ニホンモモンガに食べられ、悲惨な姿になってしまった植物を撮ったものなのだ(大学の林の中につくっている大きなケージの中での出来事である)。



 上の写真の木は「タブノキ」で、モモンガはタブノキが好きらしく、ケージ内のタブノキは軒並み葉が食べられて、枯れそうになっている。
 写真の木では、何とか新芽が出て、ひょっとしたら生き延びる可能性がないこともない。

 下の木は、野性においてもニホンモモンガが主食にしていると考えられるスギである。中央の地面に落ちている緑色の枝は、すべてモモンガが、木の上で葉を食べたときの副産物である。
左側の、枝のついていない茶色い木(棒?)が、モモンガに長期間にわたって餌を供給してきたスギの姿だ。

モモンガはミズナラやクヌギなどの堅果(ドングリ)はあまり好きではないのに、ヒマワリの実は大好きだ。

私は、ケージの地面に、分厚くて大きな白色のビニール袋を置き、その中に、ホームセンターから買ってきたヒマワリが入った袋を保存している。ケージを訪れたときその中からヒマワリを出して巣箱の上などにおいてやるのだ。

あるとき、ケージに来てみたら、どうも、モモンガは、保存しているヒマワリの存在に気がついたようで、“分厚くて大きな白色のビニール袋”に穴があき、中に、ヒマワリの殻が散在していた。
穴をあけて侵入したモモンガが、さらに中のヒマワリ袋を破って実を食べたのだ。

それからしばらくして、私は、モモンガの犯行の現場を動画に収めることに成功した。それが下の動画だ。
モモンガも苦労しているようだがなかなかやるものだ。


2015/06/29

ダンゴムシに合唱(動画)


 私は先日、ダンゴムシを「ベンジョムシ」と呼ぶ地方があると聞いて、頭がくらくらした。ほとんど倒れそうになった。

 私が大好きなダンゴムシをベンジョとはなんということだろうか。

 ダンゴムシもダンゴムシだ。
 ベンジョの周りをふらふらしたりするからそんな名前がつけられるのだ。

 下の動画は、森の倒木をひたむきに食べ続けるダンゴムシの姿を撮ったものである。
 こんなダンゴムシの働きがあるからこそ、森では「生物→土壌→生物」という循環が起こり、ヒトが生きることができる、大気・水・土壌の環境が維持されているのである。

 ダンゴムシに合掌

2015/06/28

コウモリは、不吉で不潔の真逆の動物である(動画)


 今、このブログを読んでいる方の中には、コウモリが不吉で不潔な動物だと思っている人もおられるかもしれない。
 
しかしその認識はかなり違ってる。ありていに言えば真逆である。

コウモリは、その餌を生み出す森の豊かさ、自然資源の豊かさを示し、下の動画は、コウモリがいかに身だしなみ、体の清潔さに気を配っているかを如実に示すものである。

 「人々のコウモリに対するイメージが本当のコウモリの姿に近づく」ことを私はライフワークにしたいと、先日決心したのである。


2015/06/26

カナヘビの寝床と新しい里山生物園


上の写真は、先日、鳥取環境大学のまちなかキャンパスにつくられた第二の里山生物園「陸の生物園(テラ)」のカナヘビ達である。

今、このテラの完成を記念して、25日(木)から28日(日)まで、特別企画「テラの生物達と里山昆虫標本コレクション」を開催してる。


24日の夕方から、学生達と一緒に最後の会場準備を行い、夜の8時過ぎに作業は終わった。
新聞社の記者さんも来てくれ、学生達はインタビューに答えて、各々の生物についての持論(!)をしゃべっていた。

作業が終わってから皆でテーブルを囲んでコーヒーを飲み、動物談義に花を咲かせた。

さて、そろそろ帰ろうと席を立って部屋を出ようとしたときだった。
だれかが、カナヘビ達の姿を見て驚いたように言った。

「夜はシダの上で寝るんだ!」

その言葉を聞いて私は、私が大学生のとき(暑い日だった)行ったカナヘビの“終日観察”のことが鮮やかに思い出された。
終日観察とは、一日中、ずーーっと、野外の、ある特定の動物個体の活動を、その個体について行って観察することだ。
詳しい話は省くが、私は、1匹のオスのカナヘビを、気づかれないように注意しながら、見失わないようにながら、そっと追跡し、観察された行動をノートに記録したいったのだ。

途中、彼は、地面の小さなバッタを食べたり、他のカナヘビに出合って、威嚇したり(闘牛のウシが突進の前に前肢で土を掻くのと同じような動作をする)、威嚇されたり(威嚇されてビビッた時は、尾を小刻みに震わす)、なかなか面白い姿を見せてくれた。
 大変貴重な記録になった。

 でも、なにせ、夏の暑い日である。とにかく・・・・疲れる。カナヘビがジーとすると私もジーッと待たなければならない。枯葉の下に入ると見失わないように、出てくる可能性があるところをジーッと見ていなければならない。
 夕闇が迫ってきたころには、「オイ、そろそろねぐらに入ってよ」と願いはじめた。

 そのころの私のイメージでは、カナヘビのねぐらは、石の下とか、倒木の下といった感じだ。だからカナヘビがそういったところ近づくと、よしそこに入って一日を終わろう!みたいな気持ちになった。

 しかしカナヘビはそんな私の気持ちをよそに、“ねぐら”に入る様子はなく、それどころか、辺りはかなり暗くなっているのに、細い木に登りはじめた。
 
 「えーっ、これからまた木に登るのかよー。そしたらそこで一仕事して降りてきて、それからねぐらに入るとしたら、まだ大分時間がかかるじゃない」―というのがそのときの私の思いだった。

 でも実際にはそうはならなかった。
 カナヘビは木を登っていき、高さ1mほどのところにあった枝と幹の谷間に体を挟み、その姿勢のまま、穏やかな顔をして目を閉じたのである。
 そして私は気づいたのだ。

 そうか、夏のカナヘビのねぐらはここだったのか

 夜の木の上は安全だし、何より涼しい。ヒトで言えば「ハンモック」みたいなものである。

 そして里山生物園テラのカナヘビである。
 そうテラのカナヘビも、少々暑いテラの中で、シダのハンモックの上で寝るのだろう。気持ちよさそうに目を閉じている。


 最近、体調と気持ちが沈んでいた私の心を、動物の行動を調べたいと願ってひたむだった学生の頃の思いが蘇って、少し元気にしてくれたのだった。

オシマイ