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2015/07/30

私は日夜、環境教育に邁進しているのである




先日、里山生物園テラで生まれた子カナヘビのうち、餌を食べられなくて痩せてしまった2匹を大学に連れて帰ってきたお話をした。野に帰す前に、研究室でシロアリを中心にした食事で(?)太らせたという話だ。

チビカナヘビのお腹を膨らませろ(動画)

 さて今日、その子カナヘビを大学の裏山に放そうと、容器に入れて階段を下りていたら、印刷室の前で学生達に聞かれた。「先生、何が入っているのですか?」

 私は手短に、かつ丁寧に事情を説明したのだが、成り行きで、その子トカゲを見せることになり、印刷室に入って容器を空け、私の手の上に乗せて見せてあげた。
 学生達は「はじめてみた。かわいい!」「ほんとかわいい!」と連呼して子カナヘビを見ていたのだが、そのうち、容器の中のダンゴムシやワラジムシにも目が向き、それらについても質問しはじめた。

 私はこれはいいことだと思い、彼らの子育ての話や、幾つかの面白い習性について話し、最後に、「どう、自然は驚きに満ちている、だろう」と締めくくって、印刷室を出た。

 どうですか、私はこのように日夜、学生への環境教育に心を砕いて実践しているのである。


オシマイ

2015/07/27

チビカナヘビのお腹を膨らませろ(動画)

子カナヘビをジロッとにらむ、貫禄たっぷりの大人のカナヘビ




充分な餌が捕れないのだろう.2匹の子カナヘビは痩せていった(右の写真の白円の中).


 公立鳥取環境大学まちなかキャンパスに新しくオープンした、「陸の里山生物園テラ」をご存知だろうか(ご存じない方は下記の記事を読んでいただきたい)。


 テラのマスコットはなんといってもカナヘビだろう。テラの倒木の上やシダの葉の上でそのハンサムな顔としなやかな姿を見せてくれている。

 テラに移入されたカナヘビは2匹であり、そのうち一匹は移入時にお腹の中に卵をもっており、私は生物園の園長コンビMさん、Nさんに「やがて子カナヘビがその辺をチョロチョロは歩きはじめるよ」と予見した。

 2週間ほどしてその予見は実現し、4匹のチビたちが、親たちと同じように、シダの上や倒木のうえを歩きはじめた。とてもかわいい、テラの新メンバーだ。

 でもやがて、問題が出てきた。
 4匹の子カナヘビのうちの2匹が痩せてきたのだ。

 これは多くの動物の飼育の際に起こる問題で、体が小さい“子”の飼育は実に難しいのだ。彼らが食べられる餌は限られているからだ。いずれにしろテラの中で4匹の子カナヘビの成長は無理なのだろう。このままでは2匹は死んでしまう。

 私は、痩せた2匹を野に放してやろうと思い、園長さんたちにその2匹の捕獲を依頼した(その作業は結構難しいのだ。チビたちはチョロチョロ動いていろんな場所に隠れてしまうのだ)。
 やがて、園長コンビの努力により2匹のカナヘビは捕獲され私は容器に入れて、とりあえず大学に持ち帰った。

 さてそれからである。少し私が迷うはじめたのは。
 このまま大学の裏山に放してやればことは終わるのだが、はたしてこんな痩せたままで放してやってもよいのだろうか?すぐに餌を捕りはじめて生きてゆけるのだろうか?

 悩んだ末の結論は、「お腹が膨らむくらいの状態にしてから野に放してやろう!」だった。

 どんな餌でチビたちのお腹をいっぱいにしてやるのか?
 すでに、チビたちが食べることを確認している餌は、ワラジムシやダンゴムシの小さな子どもである。でも、たくさん準備することはできない。
 
 そこでひらめいたのが、“シロアリ”である。あの、巣の中にうじゃうじゃいるシロアリをごそっと与えてやれば、子カナヘビ達は必ず食べるに違いない。


 かくして、シロアリには申し訳なかったのだが、大学の裏山でシロアリは採取され、子カナヘビ達の飼育容器に入れられたのだった。

                     大学の裏山で採取したシロアリ


 もちろん私の読みはあたっていた。こういった問題に関して私が的をはずすわけがない。

 カナヘビは飼育用に入ってきたシロアリを下のような具合に喜んで食べたのである。


     


それから数日後、チビたちのお腹はどうなったか。
 下の写真がその答えである。