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2015/09/10

私はなぜ洞窟が好きなのか 洞窟の中の一つの生命世界




 私は洞窟の中が好きである。
そして好きな理由を、今改めて考えている。


コウモリが居ることが理由の一つ?確かに。確かにそれは言える。
でもそれだけではない。
洞窟の中は暗黒の静かな世界であり、そこに多くの動物が生きている。
その中には、一生、洞窟の暗闇の中で生きていくものもいれば、一時的に暗闇の中に入り込んで過ごしているものもいる。


彼らの命の主要な源は、コウモリの糞だろう。光が無い洞窟内では、動物の命の源になる植物が育たない。植物が無機物から有機物を合成してくれないのだ。そして、その有機物を提供してくれているのが、コウモリが洞窟外の光の世界から運び込んで一部を捨てた“糞”なのだ。


ちなみに、洞窟に入るときしばしば思うことがある。それは、「もし落盤があったらどうしよう」だ。50年以上も(あるいは100年以上も)落盤はないからといって、まさにこれからそれが起きないとは限らない。
今日、私が、あるいはわれわれがここに来ることをあの人とあの人には知っているよな、と確認してから入るのだ。
学生と一緒に行くときは、もちろん先頭で入るのはいつも私だ。私は内壁の状態が強固であるかどうか確認しながら進むのである


 洞窟の内壁の模様は、ときとして壁画のように見えることもある。当てたライトの先に浮かび上がるその“壁画”の前にしばし立ちつくすこともある。
 底に池ができているときは、水の揺らぎに心がざわめく。


そんな場所に動物がいたら、皆さん、もうそりゃあ、心躍りますよ。

オシマイ



上左「類が分からないザトウムシ」 上右「ヤマアカガエル」
      下左「種類が分からないガ」  下右「サワガニ」