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2016/10/10

瞳孔の形についての研究、不十分だと思う.ヘビが嫌いな人は見ないほうがいいです。




昨日、大学の近くの日当たりのよい谷あいでマムシを見つけた。下の写真がそれである。もちろん捕まえたから写真が撮れたのだ。

顔(ヘビのだ)をまじまじと見ていたら、(いつも生物についてあふれんばかりの好奇心が実際あふれている)私の脳に一つの思いが湧いてきた。それが「瞳孔の形についての研究、不十分だ」というものだ。


ちなみに、よい機会なので申し上げておきたいのだが、私はヘビの研究者ではない。
ただし、「小型哺乳類によるヘビに対する防衛行動」をライフワーク的研究の一つだと思っている。学生時代に発見して10年近くかかわったシベリアシマリスの対ヘビ行動(その過程で10種類以上の小型哺乳類の対ヘビ行動を調べた)は私にとって、いろいろな意味で忘れられない研究だ。

確かに、勢い余ってヒトやヤギのヘビに対する行動も調べたことがある(やっぱりヘビが好きなのかも・・・・イヤイヤ、けっしてしてそんなことはない。先日もアオダイショウに鶏肉を手から与えていたらそのアオダイショウが何を思ったのか、鶏肉を飲み込み、そのあと、鶏肉から連続して続いていた私の手を飲み込もうとしはじめた。マジ冗談ではない)。

ヘビは人の脳に強い記憶を残すようで(脳内にはヘビの認知に専用の回路がある)、私がシベリアシマリスの対ヘビ行動の話をすると、それを聞いていた人は、後で、「ヘビの研究、面白かったです」などと言われる。シマリスの研究だろが!と心の中で叫ぶのである。

さて目の網膜に光を取り入れる取り入れ口「瞳孔」は、少なくとも哺乳類では、草食動物(たとえばヤギ)では横長で肉食動物(例えばネコ)では縦長であることが最近は大々的な研究でほぼ立証されている。草食動物では視野が広いほうが捕食者の発見が早くでき有利だというのが、まー、基本的な理由である。
一方、肉食の爬虫類に関しても同様な認識が定着しており、たいていの解説書でヘビの目の瞳孔は縦長と記されている。

でも、これはヘビを愛好する(私は違う)方なら常識だろうが、縦長の瞳孔のヘビもいるし、そうではない(円形とか楕円形など)ヘビもいる。

一番上の写真の写真のマムシの目を見ていただきたい。マムシはもちろん毒蛇である。
瞳孔はほとんど閉じているが明らかに縦長である。
一方、その下のヘビは、この写真の場面の後、私の手を飲み込もうとすることになるアオダイショウである。
瞳孔は?・・・・けっして縦長ではない。
マムシもアオダイショウも肉食で、どちらも昼間も夜も活動する。ちなみにガラガラヘビの瞳孔はマムシと同じく縦長である。
ヘビでは、ひょっとすると毒を使うかどうかが瞳孔の形に関係があるのかもしれない。

瞳孔の形についての研究、不十分だと思う.