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2016/10/08

脳内の視覚領域の進化的適応を体験しよう(ブログをPCで見ないと体験できません)

次のようにしてください。

まず、下の4色が円を作る図の中央の+を約30秒間、じっと見つめて下さい。
その後、目をその下の白地の真ん中に+がある図の+をじっと見つめて下さい。そしたら何かが見えてくるはずです。











どうでしたか?

では次です。

下の向こうへと続く道に、黒い人間が立っている絵を見てください(その絵の下の絵はまだけっして見ないでください)。
そして後ろ(向こうのほう)に立っている人は手前に立っている人の約何倍か、予想してみてください。

予想したら今度は、一番下の絵を見て下さい。
何倍かわかりましたか。分かったでしょう。









「4色の丸の図形を見て白い場所を見たとき元の色と補色にあたる色がそこに見えてくる」という現象と「遠近の手前側と向こう側の人とで物差しで測れば同じなのに向こうにいる人のほうが大きく見える」という現象はどちらも”錯覚”と呼ばれますが、脳内の視覚領域の進化的適応という点から言うと、後者の現象は進化的に適応しており、前者の現象は進化的に適応していない、ということができます。

なぜ後者は適応しているのか?

考えてみてください。自分の前を通り過ぎて向こうへ遠ざかっていく人が、網膜上に物差しで測った大きさになると脳が認識したら、人の身長はやたらに大きくなったり小さくなったりすることになります。そうなったら外界はもうむちゃくちゃになります。
人の大きさに関する脳内の資格領域では、「向こうに遠ざかる人は、網膜上の物差し長さでは小さくなるのだけれど、実際の大きさは変わっているのではない(おなじ大きさである)」と認識するようにプログラムがあるのです。それがあって初めて我々は、日常の生活において”まとも”に外界が認知できるのです。プログラムがその働くと、向こうにいる人の網膜上の物差し長さが目の前の物差し長さと同じだとしたら、向こうにいる人はかなり大きい、という認識が生まれるのです。現実にそういう場面があったら、実際、向こうの人は巨人なのです。

前者の錯覚についてはそれが起こる理由は、長くなるのでここでは説明しませんが、こういう場合は、人本来の狩猟採集生活においてはありえないことなので、脳内にはそれを修正するようなプログラムはないのです。必要なかったからです。

なぜか今日は「です・ます」調になりました。
今日の話、うまく伝わったらよいのですが。