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2014/11/27

森の古墳のなかに棲む一匹の雄のキクガシラコウモリ(2014/12/25改訂)


                    石室の中央に、静かにぶら下がる雄のキクガシラコウモリ


 息子のすすめもあって、今日からブログをはじめることにした。
私が書きたいなと思っているのは、「動物とヒトと動物行動学」みたいなものだ。今日のでき事、少し以前のでき事、はるか昔のでき事のなかから、「動物とヒトと動物行動学」を書きたいと思っている。
 そして私のブログのはじまりはコウモリの話からになる。
 これまで、ずっと、付かず離れず接してきたコウモリたちと、最近、深くつきあうようになった。
先日、二人の学生といっしょに、鳥取県の、とある山中の古墳に行った。ヒノキや自然林が茂る森のなかに、こんもりと土が盛り上がった場所があり、その土の下に、石で組み立てたトンネルのような部屋(石室)がありました。天井が、地面から1.5mほどの小さな部屋だ。
 もちろん私は、二人の学生を押しのけて(!)ライトをもって狭い入り口から入っていった。コウモリはいるだろうか、いるとしたらどんな種類だろうか、こういう瞬間は何度経験しても胸が高鳴る。
 すると、“トンネル”のちょうど真ん中あたりに、なんと立派なキクガシラコウモリの雄が、一匹だけ(!)、天井からぶら下がっているではないか(!!)。もう冬眠モードで、さわっても動かない。ちなみに、雄のキクガシラコウモリはなかなか見つからない。
 私は研究のための捕獲許可を取っていたので、木に実った高価な果実でも大切にもぎ取るように、全く動かないコウモリを天井から“もぎ取った”。
 大学につれて帰り、二日ほど調べた後、後ろ足に足環(セキセイインコの足首につけるようなリングと同じものです)をつけて、古墳に返した。
 山中の森のなかの古墳に一匹だけ棲む雄のコウモリ。
 意外に思われるかもしれないが、私はその姿の奥に、野生のロマンと、ヒトが幸福に生きるヒントの断片が隠されているような気がしたのだ。