この絵は、スペインの大芸術家ミロの創作活動を記録した写真集「ミロの仕事場 ― ある宇宙の肖像」の中の一枚をモデルにして、私が描いたものだ。
ミロは、海岸や草原の小道で見つけた貝やウニの骨格、樹肌や枯葉の模様、岩や木切れ表面のしみ等から、多くの情報を感じ取り、多くの刺激を受けてきた。そして、自分の中で消化し、微細で厳格な配慮をもって、ある本質を表現してきた。その本質の一つは、「生命の律動」だと思う。
リズムやバランス、対比、スピード、安定、変化、統一性といった、生命が本質的にもっている特性を、キャンパス上の絵の具で、あるいは自然物や人工物の配置によって表現しようとしたのと思う。
それが、自然を体感し、理解する深い作業なのだとしたら、生物学者が、ミロの作品に魅せられないはずはないのだ。