左の写真は、その中に4匹のモモンガがいたと思われる巣穴がある木.左は、それらのモモンガを見た方からの話から想像される年齢のモモンガ
先日、鳥取県の芦津のAさんから次のような内容の電話があった。
町長さんの山で作業をしておられた方が、木を切っていたら、倒れた木から4匹のモモンガ(らしきもの)が出てきた。そのうちの1匹を連れて帰っているだがどうすればよいだろうか。
私は考えた。
今の季節に4個体のモモンガが一つの巣穴にいたということは、「巣内同居は寒さをしのぐためのモモンガたちの戦略だ」という私の仮説を支持する出来事だ。でも、成獣だったら(仮に木が倒れた拍子に脳震盪を起こしたとしても)そんな簡単に、素手の人間につかまるはずはない。でも季節から考えて、今の時期、同じ巣穴に留まっているような仔モモンガがいるはずはない。春と夏、繁殖期をもつモモンガだが、夏の繁殖期で生まれたとしても、今はもう充分成長しているはずだ。
これはどういうことだ・・・・(まー、とりあえず、モモンガは、それが捕獲された場所で放すのがいいでしょうと答えたが、大きな疑問を抱え込んだ気がした)。
そして私は、その場所と、4匹のモモンガの様子を聞くために、大学から1時間ちょっとかかる町長さんのご自宅へ行ったのだった。
ちょうど奥様が対応してくださり、モモンガを連れて帰った方とも直接話ができた。
その結果、そのモモンガたちは、やはり生後数ヶ月齢の仔モモンガだった可能性が高いことが分かった。
そして、町長さんのお計らいで庭にもって帰ってあった、4匹のモモンガがいたと思われる巣穴がある木と対面することができたのだ。
その後で、モモンガが巣穴を利用していた木の場所へ行ってみた。
スギの木と自然林が接する、私が生息地の研究で達していた「ニホンモモンガはスギ林と自然林が接するような場所を一番好む」という結論にピッタリの場所だった。
その日は、モモンガの巣の木を持って帰ることはできなかったので(その木を持ち帰るためには軽トラックが必要)、「また取りに来ますのでとっておいて下さい」とお願いして帰路についた。
ちなみにその木は「キハダ」という樹皮の下が鮮やかな黄色をしている樹木だった。
私は近々その木を持ち帰り、木を真っ二つにして巣の内部を調べることを今から楽しみにしている。
きっとスギの樹皮を細かく裂いて作った巣材が厚く敷かれていると思う。
実際にその時がきたら、このブログで是非お見せしたい。