2016/03/22

今年もカスミサンショウウオがTくんの池で産卵した






上の写真は、2008年に大学を卒業したゼミ生のTくんが、卒業研究でつくったビオトープに産み付けられたカスミサンショウウオの卵塊だ。

 中の胚は、幼生の姿に近づいている。もう少しすると神経同士がつながってきて、ぴくぴく動き出す。

 Tくんのビオトープづくりは本当に大変な作業だった。大学の敷地内の林に長径8mくらいの水場を独力で堀りあげ、周囲を整え、最後に、近くの水場から希少動物を採集して放したのだ。

 その中の一つがカスミサンショウウオの卵だったというわけだ。
 その後、卵は孵化し、幼生になり変態して幼体になった。幼体になったら陸上に上がり林床での生活がはじまる(幼生は3年程度は全く水場には入らず、3年後の晩春、成長した姿になって水場で繁殖活動を行うことが知られている)。

 
 そしてだ。ここからが圧巻なのだ。
Tくんが放した卵たちは、きっちり3年後に、成熟してTくんのビオトープに戻ってきたのだ!素晴らしい。場所を覚えていたのだ。

このように繁殖地を増やしておけば、その地域から希少動物が絶滅する可能性は減少することになる。

下の写真が、Tくんがつくって、今ではその土地の一部としてなじんでいるビオトープだ。いろいろな生き物がこのビオトープを利用している。今、カスミサンショウウオの卵塊が増えつつあるビオトープの中の底には、新たな雌がやってくるのを待ちながら、また子どもたちを保護しながら、じっと潜んでいるに違いない。

えっ? そのカスミサンショウウオの雄の成体の姿が見たい?
それは近々、お見せしましょう。迫力あるよ。




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