脱走したアオダイショウと見つめ合うSくん.ヘビの魔法にでもかけられたかのようにとろーーんとした眼差しをしている.
前回の記事で、Hさんがゼミ室に置いている飼育容器から、アオダイショウの姿が消えたことはお話しした。
そして先日、実験の準備をしていた私にSくんから電話がかかってきた。
「先生、水槽の横にアオダイショウがいるんですけど。」
怖がっている感じが伝わってきたので(それとこの機を逃すともうアオダイショウは見つからないだろう、という気がしたので)、私は、「すぐ行く!」と返事をして、ゼミ室へと向かった。
Sくんが指し示す場所に目をやると、確かに、アオダイショウがいた。
水槽の横に、かわいい顔をぬっとのぞかせていた(下の写真)。
でも、普通の人が突然、この場面に出くわしたら、きっと結構な怖さを感じるだろうなー、と思った。後でSくんが「心臓が止まりそうになるくらいびっくりした」と言ったが、それも納得できる。
私は、その場面にとても感動して写真を撮っていたら、さすがにアオダイショウは水槽の背後に後退し、水槽と壁の狭い隙間を移動しはじめた。
面白かったのは、水槽の中の魚たちが、最初は驚いて逃げるような行動をとっていたのだが、それから、興味津々で近づいていき、アオダイショウの顔のあたりをじーっと見ていたのだ(下の写真)。
このあと、私はSくんと協力して、無事アオダイショウを捕獲し、飼育容器に返したのだった。
Hさんは、今、大阪に行っているが、帰ってきたら、「Sくんにランチをご馳走してあげなさいよ」と言おうと思っている。
偶然とはいえ、Sくんの行動はそれだけの価値があるのだ。私にはよくわかるのだ。