最近、FAO(国際連合食料農業機関)は、世界の食糧問題への対策として、「食虫」文化の復活を提唱している(つまり、昆虫などの虫類を積極的に食料のメニューに取り入れていくことを世界中の人々に呼びかけているというわけだ)。
日本には昔から、ハチの子やイナゴなどを食べる食文化はあったが、それらが食料全体の中に占める割合はけっして多くはない(極わずかだ)。
ところで、上の写真は、かつて養蚕大国でった群馬県の、ある会社が生産している、カイコ(および桑の葉っぱ)のチョコレートだ。
あるとき、私の研究室のドアがノックされ、某Hさんが入ってきた。
そしてこのチョコレートを、「先生、これ、すっごくないっすか」と言って一つくれたのだ。
もちろん私は驚き、そのチョコレートを作った人たちのアイデアに感心し、写真を撮ったのだ。
さて、後で分かったのだが、このお菓子をHさんが手に入れた背景にはちょっといい話があった。
ゼミには、昆虫が大好きな(そしていろいろなところに昆虫の採集にも行き、学術的な知識も豊富な)某Mくんがいる。
Hさんは、ネットか何かで、カイコ・チョコのことを知り、Mくんの大学院合格の祝いとして何とか手に入らないものかと考え、ちょうど群馬に行くことになっていた、Hさんの友だちに、買ってきてくれるように頼んだのだという。
なかなかいい話ではないか。
下の写真は、ゼミ室でカイコ・チョコを受け取り、それなりに笑顔を見せているMくんである(私が、ブログのネタにさせて、と無理を言って撮らせてもらった)。
ちなみに、Mくんの後ろで何かを夢中で読んでいるように見えるのは、ニホンジカの“くくり罠“のことを卒業研究でやっている九鬼くんである。
このような、カイコ・チョコが育む、人と人との交流も、FAOが提唱する「食虫文化」とはまた違った意味での“食虫文化”と言ってもよいかもしれない。