2017/01/04

その隧道には、水の中に太い根が入口から中へ中へと水中をまっすぐ伸びていた。樹木の驚くべき生き様。2匹のコウモリが互いをかばいあうような格好で越冬していた。


先日行った、甑山を貫く隧道(導水路)は、昨年は鳥取県では比較的珍しいモモジロコウモリが一匹越冬していた。

今年はキクガシラコウモリが3匹いて、そのうち2匹はお互いかばいあうような恰好で(なかなかおしゃれな姿勢)越冬していた。

この隧道、毎回驚くのは、入口から少なくとも数十メートル内部へと伸びる樹木の根だ(樹木の種類はわからない)。
5,6本の太い根が、水の中をまっすぐ伸びているのだ。

樹木の、通常は我々には見えない地下の生き様だ。
ヒトも含めて、この、表面には見えない生き様が大事なんだ、と教えてくれる。

コウモリをはじめとする野生動物もそうだ。数か月の冬をコウモリたちは、その前に脂肪を蓄積したり、好適な場所を探したり・・・・そして、冬期中、じっと耐え抜くのだ。

われわれ動物行動学者は、それぞれの生物がそれぞれの環境下で展開させるこのような形質を進化的適応と呼ぶ(ちょっと冷静すぎる?)。

こういう話をすると、よく、野生生物に比べヒトは・・・・、という言葉が返ってくる。
でもそれは違うと思う。
ヒトはヒトで、脳一つとっても、”表面には見えない”、つまり意識や行動には表れない大変な活動を黙々とやっている。だからわれわれは生きていくことができるのだ。もちろん、意識に上ったうえで、行動には出さず、言葉には出さす、その気持ちを飲み込んで耐えていく、そういった”表面には見えない”生き様もある。

私は、たとえば、60歳でも、70歳でも、生きてきたヒトを見ると、どういう生き方をしてきたか、あるいは今、どういう生き方をしているか、にかかわらず、頑張って生きてこられたのだ、と心から思うことがよくある。いろいろ大変なことがたくさんあったろうに、よく耐えきって生きてこられたのだなー、と思うのである。

そうやって自分も褒めてあげたいのだが、自分のことになるとそれはまた、ちょっと難しかったりして・・・。

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