野外調査は、成果が多いときも全くないときもある。成果がないときもそれはそれで重要で、それがあるから成果の多い調査も体験できるのだ。
上の写真は、昨年、鳥取県と岡山県の県境、中国産地の麓に、コウモリの生息地(そしてその中のコウモリの状況)を調査しに行ったときにもって帰った“モニュメント”だ。たいていは自然物だが、そのときはちょっと違っていた。ご覧になれば分かるように、それは人工物だ。
“モニュメント”は、ある時ふとそれに触れたとき、私を元気づけたりしてくれる。
上のモニュメントも、今日、疲れて帰宅した私の心をちょっと元気にしてくれた。
ああっ、あのときは大変だったけど面白かったナー。充実した気分になったなー・・・、と。
さて、では、上のモニュメントは何なのか。お話ししよう。
その日、まずは、学生達と一緒にその地域の教育委員会に寄り、現地を案内していただく方と打ち合わせをした。
そして打ち合わせが終わり、さあ出かけよう、ということになったとき、教育委員会のある女性の方が、クマに合わないように気を付けてください、といって、私に下さった、クマ除けの鈴なのだ。
私は何度も、お礼を言って、それを受け取り、ザックに付けて出発したのである。
四箇所ほどの洞窟に行った。
比較的簡単に見つかるものもあったが、たいていは、雪の中、藪こぎもしながらやっと見つかったものだった。
そんな洞窟のなかで、興味深い生態を示しながら、私はまばゆいばかりに天井にぶら下がるコウモリ達に出合ったのだ。
それまでにはなかった知見も多く得られ、学生達と一緒に、私は外気の寒さも全く気にならないくらい暖かい気分で山を下ったのだ。