「ドバトのホバが逝ったあと大学にやってきたドバトたち」でご紹介した、足環をつけたドバトのその後である。
ゼミ生のNくんは、私の「足環をつけたドバト」について話を読み、ある試みを実践した。
写真がうまく、高価なカメラでいろいろな動物や風景を撮っているNくんは、ドバトの足環を望遠レンズでねらい、足環に書かれているドバトの持ち主を突き止めようとしたのだ。
「足環をつけたドバト」がレース用のハトだと推察し、だったら、足環に持ち主の住所・名前が書いてあるはずだと考えたのだ。
というわけで望遠レンズが登場するわけだ。
そして、Nくんは、予想通り、足環に住所と名前があることをカメラをとおして証明し、それを私に見せてくれたのだ。
私はそんなことは何も考えなかった。へーっ、そうなんだ!と、私は興味深く写真を見せてもらった。
下の写真は、その中から選んだ、住所・氏名が、確かに足環に書いてあることは分かるが、(プライバシーの関係で)読み取れることはできない写真だ(Nくんからの許可を得て掲載した)。
Nくんの話によると、そのドバトは人にあまり警戒心を示さず、Nくんがかなり近づいても逃げようとしなかったという。
もちろん、人に飼われていたせいだと思われる。
「じゃ、持ち主に連絡してあげるの?」と聞いた私に対してNは次のようなことを言った。
「いやー、そうするかどうか迷っているんですよね。今、番をつくっているじゃあないですか。もし持ち主に連絡して引き取りにこられたら、ドバトにとって幸せかどうか。」
なるほど。
Nくんは今、迷っている。悩んでいるのだ。
赤円の中の足環に持ち主の住所・氏名などが書かれている(上写真).
番で行動している足環をしたドバト(下写真)
いずれもNくん提供