本を書くと、それを読んでいただいた方から手紙をもらうことがある。
先日届いた手紙には、私が以前、ある本の中で書いた「(まだ目も開いていない)子リス達が集団で声を立てて捕食者(イタチなど)追い払う」話がとても面白かったと記されてあった。
「子リス達が集団で声を立てて捕食者を追い払う」話が面白かったと書いていただいた手紙は、今回で4通になる。私が思う以上に、この話には人の心に響く何かがあるのだろうか。
その現象は、シベリアシマリスについて、私が世界中ではじめて学術論文に発表した(おそらく発見自体もはじめてだと思う)子リスの行動である。
生まれて、まだ10日ほどしか経っていない子リス達(シベリアシマリスは一回の出産で平均5匹ほどの子を産む)が、母親が外に出て自分達だけが巣に残されている状況で巣を刺激されると、皆が、一斉に「カタッ、カタッ、カタッ」と大きな声を発するのである。全身をのけぞらせるようにして、皆がリズムを正確に合わせて(!)発声するものだから、まるで、巣の中に1匹の大きな(獰猛な)動物がいるような感じがする。
そして、私は、その子リス達の発声が、巣に入ってきた、彼らの捕食者であるイタチを退散させる効果があることを、実験によって確認することもできた。
その話が面白かった(感動した)と言ってくださる手紙が4通も届いたので、今回は、本ではご紹介できなかった子リスの「カタッ、カタッ、カタッ」発声の動画を、ここにアップしようと思う。
ついでに、この「カタッ、カタッ、カタッ」発声が、イタチ(ヨーロッパケナガイタチ)を追い払う効果があることを示した動画の一つ(画面では、巣穴を想定した四角い通路の端に、カタッ、カタッ、カタッを再生するマイクと、その前にイタチが好む餌を置いて、イタチが餌をとろうとしたとき、カタッ、カタッ、カタッを再生している)もアップした。
それぞれの手紙にはもう“文章”の返事は書いたが、手紙をくれた方々もこのブログを読まれていることを願っている。