2015/07/05

あっ、こんなところに枯葉が.(触れると)わっ!!





 蛾の中には、翅をとじてじっとしている時は、翅が背後の色と同じで目立たなかったり(隠蔽色)、翅が自然物(枝や葉や・・・)に似た姿をしていたり(擬態)して、天敵から身を守る生態をもつものが多い。

 上の写真の蛾はアケビコノハといって、外側の翅は、枯れた葉に実によく似ており(葉脈までしっかりついている)、じっとして時は枯葉に擬態している。
ところが、この蛾は、“擬態翅”が機能せず、相手が翅に接触してくると、突然、上翅を大きく広げる。すると下翅の目玉のような模様がバッと現れる。

実験によって、このような目玉模様の突然の出現は、少なくとも鳥には効果があり、たいていは、鳥は驚いて逃げることが知られている。

以前、私は、アケビコノハの戦略が、ヒトにも効果があることを、偶然の実験によって目の当たりにしたことがある。
その時の実験個体は私の妻であった。

休館日の図書館に本を返しにいった時のことである。
返却ポストの棚の上に“枯葉”が落ちていた(私が置いたわけではない)。
それを見つけた妻は、「あっ、こんなところに枯葉が」と言って、それをつまもうとした。そしてつまんだその瞬間、妻は「わっ!!」といってたいそう驚いた声をあげた。

 そばで、一連の成り行きを反応を見ていた私は、進化が生み出したアケビコノハの捕食者防衛行動の見事さと、妻の実験個体としての見事さに感じ入ったのである。

「あなたは、ほんと、理論どおりの教科書のような実験個体だね」と言うと怒られた私だった。

 今日は朝から気持ちのよい晴天になったのだ、サービスで、別な蛾の“目玉模様脅し”の写真もつけておこう。



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