私が住む鳥取県で昨日、地震があった。
私は講義をしていた。揺れがだんだん大きくなり天井の電灯もきしむような音がしはじめたので、「机の下に入れ」と言った。半分ほどの学生が机の下に入った。
私も教壇の下に入ろうとしたら揺れがおさまってきた。
研究室へ戻ってみたら、電波受信器にとまらせていた、私のお気に入りの、金属の美しい蝶が床に倒れていた(上の写真)。
私のお気に入りの動物たちが、部屋の皆を代表して倒れてくれたということだろうか。
PCを開いたら、ありがたいことにいろいろな人から心配するメールが届いていた。電話もあった。
メールの中には、この人、誰だったかなーと、思い出せない人もいた。
今後1週間は警戒態勢が必要だという。
何十年に一度くらい、来るか来ないかといった大きな災害に対してそれほど不安にならない心理を、動物行動学的、あるいは進化心理学的には「適応的楽観心理」と呼ぶ。狩猟採集の生活の中では、目前に感じるいろいろな潜在的危険要素全部に敏感に反応していたら精神的に衰弱してしまうから、適度に楽観的くらいが生存・繁殖には有利だった、という推察が根底にある。
でも現在は、人工的な危険も含め災害の予知の精度が科学によって桁違いに上昇し、かつ災害の規模も大きなものが増えてきた、という理由で、われわれは、いわば本能的「適応的楽観心理」を理性的に制御する必要があるのだろう。
それともう一つ感じるのは、災害への予防と、自然生態系を基盤に置いた持続可能な社会の構築は方向を一にするものだ、という認識である。