久しぶりに私の描いた絵をネタにしたい。
誰しもそんな気分になるときがあるのだ。つまりその、絵を描いたとき、絵に込めた気持ちを思い出したくなるようなときが。
この絵には、世の中の不条理と、それに立ち向かおうとする思いが満ち溢れているではないか。
動物たちの本質を黒の絵の具から白で削り取って現し、ヒトの、対象を見る姿勢を研ぎ澄ませようとする意志を現そうとしているのだ。
私の大好きな画家の一人、ミロはあるとき、その躍動する筆さばきの秘密を聞かれ、こう言ったという。
「どの線も、ナイフのように鋭くなけらばならない」
鋭く対象を捕らえなければならないのだ。