研究室の引越しもいよいよ終わりに近づいてきた。
今日はゼミ生のYくんに手伝ってもらい、これまで荷物に埋もれて引き出せなかった机の”引き出し”を引き出すことができた。
そして、一番下の引き出しを開いたとき、私は、脳の記憶の中から、5年以上前に起こった一つ出来事を思わず引き出したのだった。
その思い出とは、こうである。
成獣になり切っていない実験用のアカネズミが研究室に置いていたケージから逃げた。しかし私は慌てなかった。なぜなら、ネズミ用のすぐれもののトラップ(罠)があったからだ。
長細い罠の一方の端に餌を置く → ネズミがもう一方の端から餌を食べようと入り餌の場所まで行く → 餌の場所は、ネズミが乗ると、その重みで少しだけ下がる. → ”もう一方の端”の扉が閉まる → ネズミは閉じ込められる = 罠にかかる。・・・という仕掛けである。
ところが何日過ぎてもネズミはかからない。しかし餌はしっかり食べられている! なぜだ!?
やがて賢い私は気づいた。成獣になり切っていないから体重が軽く、餌の場所に乗ってもそれが下がらず、扉が閉まらないのだ。
どうするか?・・・太らせるしかない!
それから、新鮮な水はもちろん、栄養価の高い、アカネズミが好きそうなものをせっせと研究室の床に置き続けた。そしてそれから数週間してアカネズミは成長し罠にかかったのだ。めだたしめでたし。
そして今日、見た上の写真の中の紙屑は、そのときのアカネズミがねぐらにしていた巣に違いないと思うのだ(引き出しは、実質的に引き出しではなくなったのは5年以上前だったのだ)。
ああ!あのアカネズミはここでは成長したのか!
ちなみに、野生のアカネズミは下のような感じで巣をつくる。