と、いうわけで今、現在の研究室は大変なことになっている。
部屋にあるものを上から順々に取って点検し箱に入れていくわけだが、今日は二つ重要な発見があった。
一つ目。
上から下へと、年代をさかのぼる資料や物品が出てくるのだ。そうするとついつい思い出に浸ってしまうのだ。「そうそう、このころは受験生用にこんなパンフレットを作ったなー」、「そうそう、このころはこんな学生実習で頑張っていたなー」・・・みたいな。
そして私は気づいたのだ。
これは文化的”地層”だなー、と。
そして”地層”らしく、その中から存在を忘れかけていた「木の化石」が出てきたのだ(すべてが木ではなく石の中に化石化した木の枝だ埋まっているような感じ。年輪も見える)。
これが二つ目の発見だ。
「木の化石」が見つかったのは2005年の”層”であり、ある思い出が浮かんできた。
この化石、学生たちと大学の山を歩いているとき見つけたのだが、持ち帰って研究室の机の上に置いていたら、翌日、たくさんのアリが机の上をはっていた。つまり、化石の中にアリの巣があったらしいのだ(ほどなく巣の入り口も発見された)。
私は近くに水や餌を置いて、アリたちの”暮らし”をずっと見つめていた。一つの生態系を見つめるようでそれはもう感動的だった。
数か月続いた感動の日々も、私のちょっとしたミスで終わりを告げたのだが、その化石が発掘されたのだ。
もちろんアリはいなかったが、代わりにクモが一匹、石にへばりついていた。あまり感動的ではなかった、と言ったらクモに悪いか。