2016/09/18

ヒトの脳内の顔検出回路のしわざ、そしてポケモン



森を歩けばよく遭遇することだ。

虫に食べられて空いた、単なる三つの穴が、ヒトの顔に見える。

これは、われわれホモサピエンスの脳内には、顔のような構成(”目”が二つ横に並んでいて・・・)の視覚刺激に敏感に反応し、顔だと感じさせるような神経回路(顔検出回路と呼ばれている)のしわざであることが生物学の分野においてはほぼ定説となっている。

顔検出回路は、新生児においてもしっかり働き(新生児にとっては、自分を守ってくれたり栄養を与えてくれたりする存在、つまり親などの保護者に敏感に反応することは、生存にとって何よりも大切なことだ)、簡単な顔のモデルにクリアーな注視行動を示すことが実験によって示されている。

心霊写真や、人面●●、メールの絵文字などに顔検出回路が関与していることはまず疑いない。

そんなことをいちいち考えていたら森歩きの楽しみが半減するんじゃない?と思われる方もいるかもしれない。

いやそれは逆なんだ。
2重の楽しみを味わえるのだ。森の心地よさや、自動的に起こる擬人化が感じさせてくれる感情の変化、面白さ、好奇心、それに加えて、それを科学の知見で説明しようとする楽しさ・・・・。

私は、いま現代人に求められていることは、前者の体験、つまり自然を直感的に感じる楽しさだと思う。
子どもを含めた多くの人々が、顔検出回路のような性質の、たくさん知られている自然の要素への本能的な感覚を生み出す回路を眠らせている(その回路の多くは大脳の側頭葉に存在すると考えられている)。
子どもたちが、そんな重要な領域を不活性化させたままで成長していいはずはない、というのが私の思いだ。

”ポケモン”への、特に子どもたちの傾倒は、大人たちのせいで自然とのふれあいを妨げられている子どもたちのけなげな(!)行動に思えてならないのだ(もちろんそれがすべてだとは言わないが)。




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