昨日の夜、大学の北側の森(そこにモモンガの野外ケージがあるのだ)に行くと、以前、学生たちと一緒につくったレンガの池にカエルの気配を感じた。
近寄っていくと、レンガの池のちょど縁のところに2匹の♀のモリアオガエルがいた。これから卵を産む場所を決め、そこでケロケロ鳴くと、その鳴き声にひかれて周囲からたくさんの♂が集まってくるのだ。
卵は、水場に張り出した枝などに、球形の泡の”池”をつくり、その中に産むのである。その球形の池の中でオタマジャクシまで育ち、雨が続いたある日、下の本物の池に落ちていく。実にうまい仕掛けになっている!
と、何気なく池の底(水がまだ一部にしか溜まっていなかった)を見ると、何と大きな♀と、その横に小さな♂(モリアオガエルでは、♂は♀の半分以下の大きさなのだ)が、並んで座っているではないか。
これは興味深い写真が撮れた(下の写真)、と満足して帰ろうとすると、♀のほうがレンガの”内壁”を登りはじめ、頂上近くまで登りついたら、上の写真のように、「いい産卵場所が欲しい」とでも叫ぶかのように、手を中空に伸ばしたのだ。
なんと心に響く写真ではないか。
私はさらに満足して帰路につくと、途中にある田中池(以前このブログでも紹介したが、卒業生の田中Tくんがカスミサンショウウオのために地面を掘ってつくったビオトープ的再生地だ)に、なんとすでに、モリアオガエルの産卵塊(球形の泡の池)があったのだ。
気の早いモリアオガエルが生んだの違いない。
人間社会でいろんな出来事が起きる中、野生生物たちは、たゆまず淡々と各々の生を進めているのだ。
10年近く前、学生たちと一緒につくったレンガの池.中から貞子さんが出てこられたら結構怖いと思う
モリアオガエルの♀(右)と♂(左)
田中池の上部に産み付けられたモリアオガエルの卵塊