春になると河川敷一面が、黄色い花で覆われる。
そんな光景に目を奪われる人も多いいのではないだろうか。上の3段目の写真のような光景である。
そして、その花を「菜の花」と思われる人も多いのではないだろうか。でもたいていは、それらは、菜の花ではなく「からし菜」だ。ちなみに、どちらも外来種だ。
夏や秋に河川敷一面を刈り取る作業を行うと、その環境がからし菜の生育戦略にピッタリ合致し、彼らが繁茂するのだ。
まー、その話はこれくらいにして、私は、河川敷や水辺が大好きです。河川敷や水辺には、植物もそうだが、さまざまな種類の動物が棲んでいるからだ。
上の、2段目の写真、その中には、1種類の鳥と、2種類の哺乳類の足跡が写っている。鳥はコサギ、哺乳類は、イタチとアカネズミである。
さて、上の1段目の写真であるが、・・・・これが、水辺に仕掛けたトラップに入った、つまり水辺や河川敷で暮らしていたアカネズミである。きっと、からし菜の種なども、美味しく食べながら暮らしているのだろう。
アカネズミは日本固有の野ネズミであるが、水辺から山地にいたる、さまざまな場所に適応して生きている日本を代表する哺乳類の一つなのである。
もう5,6年前になるが、ゼミ生のTくんと私が、河川敷に棲むアカネズミについて、ある仮説を立てて実験をした。
その仮説とは、
「河川敷に棲んでいるアカネズミは、山地に棲んでいるアカネズミに比べ、泳ぎがうまいのではないか」
というものであった。
というのも、河川敷は、日本の気候では、たびたび大雨に見舞われて増水し、水に浸かってしまうからである。だとしたら、それへの適応として、泳ぎがうまいアカネズミのほうが生き残りやすい、と推察されるからである。
大きな丸い容器の中で水を回転させ、その流速を変えてみて、アカネズミがどれくらい流速に抗して泳ぐかを調べたのである。
それで結果はどうだったか?
個体数が少なかったのではっきりとした傾向とは言えないが、仮説を支持するような結果が得られたのだ。
山地のアカネズミは、流速を上げていくと、途中から泳ぐのを止めることが多かったのだ。
また春がめぐってきた。
明日は、ゼミのみんなで、鳥取砂丘の近くの岩場の海岸に、動物の観察に行く予定だ。この時期の岩場海岸では、潮溜まりに閉じ込められたイワシの稚魚が群れをなして泳ぎ回り、潮溜まりから飛び出た稚魚を、イワガニが奪い合う。イソギンチャクやクラゲ、ときにはちびっ子のタコ、ウミウシなども見られる。
そして、私は、海岸でも、アカネズミの痕跡を探すだろう。
なかなか楽しみだ。