何かのロゴマークに使えそうな、池の中のポンタ.白い小さな点はミジンコである
私が勤務する公立鳥取環境大学のサテライトキャンパス「まちなかキャンパス」では、その中に設置している里山生物園の生物達が日夜、さまざまなドラマを繰り広げている。
先日などは、テラと呼んでいる陸地里山の“池”を掃除するため、溜まった土や枯草を、まとめてガサッと袋に入れたら、大変なことが起きた。
大学で処理しようと思って車に乗せたその“の一部が、なんと動くではないか。堆積物が動いている! 私はその秘密を解明するため、注意しながら袋を観察していると、袋の口からなんと動物の手が(!)出てきたのだ。
現場を皆さんにも見ていただきたかった。
冷静沈着思慮深く時間にはルーズな私は、その動物がテラの住人であるチビのクサガメ「ポンタ」であることをすぐ見抜き、なぜ慌て物のポンタが、そんな、一歩間違えば命さえ落としかないところにいたのか、見事に解明したのだ。
おそらく私が、「里山の“池”を掃除するため、溜まった土や枯草を、まとめてガサッと袋に入れた」とき、ポンタが堆積物の中で休んでいたのだろう。
ポンタに、今回は私の優れた発見力のおかげで助かったけれども、そんなにぼんやりしていたらいけないよ、と諭しながら、テラに戻してやったのだ。
実はポンタは、テラの中で、一時期、辛い目にあったことがあるのだ。
それは、そのころテラの中で、ここは俺たちの里山だ!とばかりに勝手し放題をしていたアリ達に襲われたのだ(下にそのときの証拠映像がある。もちろん私がこれは貴重な写真だと思い、しっかりと撮ったのだ。ポンタはかなり苦しんでいた)。
ミールワームが入れられた容器に、腹減ったとばかりにやってきたポンタを、先にやってきていたアリ達が、俺たちの餌場から出て行け、みたいな勢いで攻撃しはじめたのだ。もちろんポンタは逃げるしかなかった。
ポンタが“池”に身を潜めることが多くなったのにはそんなことも関係しているのかもしれない。
ちなみに、私はテラの生態系にバランスを取り戻すべく、アリの捕食者であるツチガエルに入ってもらって、いまアリの増殖は止りバランスが保たれている。
このようにして、さまざまな生き物達のドラマを温かく見つめ、ときには諭しながら、ときにはやむなく食物連鎖を利用しながら、持続可能なテラの実現に努力しているのである。