上の写真はヤマトシロアリの顔である。
ちなみに、家に大きな被害を与えるのはイエシロアリという種類で、山に棲むヤマトシロアリが家に被害をもたらすことはほとんどない。
ヤマトシロアリの顔、ささやかな目が印象的な、なかなかカワイイ顔ではないか。
私はヤマトシロアリが土などでつくるトンネル状の通路(蟻道と呼ばれることもあるが)に興味をもっている。
蟻道は、彼らが光が当たる場所を移動するときにつくる構造物だ。体の表面に色素を持たない彼らは、紫外線に当たると細胞内のDNAが傷つきやすいので、光を遮る目的で蟻道をつくると考えられている。
下の写真は、ヤマトシロアリの巣の外に餌(ティッシュペーパーを濡らして丸めたもの)を置いておき、彼らがどんなふうに蟻道をつくっていくかを示したものである。
道はどんどん増えていき、最後の写真は、ついには、彼らは、蟻道を空中へと伸ばしはじめたことを物語っている。オソルベシ、ヤマトシロアリ・・・だ。
ところで、この空中に伸ばす蟻道は、やがてどうなるのか、あるいは、ヤマトシロアリたちは、ただやみくもにではなく、その後の展望をもって、この空中回廊をつくっているのだろうか。
その答えの可能性を示す事例が、今回、里山生物園で発見された。
下の写真がそれだ。
里山生物園のシロアリたちは、巣がある倒木から、水槽の内側面へ向けて空中回廊を伸ばし、なんと内側面へと空中回廊の橋をかけ、そこで、アメーバーのような新たな蟻道を広げはじめたのだ。
もう一度言おう。オソルベシ、ヤマトシロアリ
最後に、蟻道の一部が何者かによって(私がやったのだが)破壊されたとき、彼らは統制のとれた集団行動で破損部の修復にとりかかる(下の動画を見ていただきたい)。見事ではないか。