倉敷への出張から帰って、大学に戻ってきたら(午後10時を過ぎていたが私は動物たちの世話のためにどんなに遅くなっても大学に寄らなければならないのだ)、研究室の入り口に可愛いお土産がおいてあった。
卒業生のKさんが海外へ行ったお土産と書いてあった。
うれしかった。
一方で、私が出張先の駅で受け取った号外が教えてくれたイギリスがEUを離脱。それは、フランスでもドイツでもオランダでも、移民の受け入れの拒否などの理由から、離脱を主張する極右翼集団が、さらに勢いを増す可能性がある。
アメリカでトランプ氏が支持される理由とも深く重なる。
マスコミで言われているように、それら一連の出来事には「怒り」の感情がかかわっている。
この現象も、前回のブログに書いた、ホモサピエンスの特性:「自分の生存・繁殖を望む意欲と、高い階層性で次のような様式の外界把握をする脳内の情報処理特性をもつからである。①いつ、どこで、何が、とうなっている。②~だから・・・になっている。③もし~なら・・・だろう」故に起こっていることだ。
この出来事がホモサピエンスの感情に強く起因する点で、上の仮説がその出来事の分析により威力を発揮する。
でも一方で、Kさんのような協調的な行為も、上の仮説が予測するホモサピエンスの行動によく合致しる。
EUからの離脱を望むホモサピエンスの思いも、動物行動学の視点からはよく理解できる。
怒りは、過度の不安によって増幅する。ホモサピエンスの脳は、実際の状態よりもより悪い予想をしてしまう(そして不安になる)という特性をもつ。そのほうが少なくともホモサピエンス史の大半をしめる自然の中での狩猟採集生活においては、生存・繁殖に有利だった。でも、近代、化石燃料などの大きなエネルギーを手に入れたホモサピエンスが、国を作って、そのような心理特性を働かせると、国同士の戦争、部族紛争などになりやすい。
それは、程度の差こそあれ、北朝鮮が取っている行為のもとにある心理と同質のものなのだ。
だから今こそ、そういったホモサピエンスの脳の作動特性を理解したうえで行動する必要があるのだ。、脳内の情報処理の階層性をしっかり上げたうえで(やはりホモサピエンスに特有な)思考を行う必要があるのだと思う。世界中が互いに影響しあう現代を鳥瞰すると、Kさんが示してくれた協調の心理のほうをより優先させるほうが、自分や子どもたちの生存・繁殖に有利なのだ。
それは、一つにはこれまでの世界の歴史が示しているではないか。
当事者のホモサピエンスがこれを読んだら、「お前は被害を受けない日本にいるからそう言うのだろう」と批判されるかもしれない。でも私がイギリスにいたら残留を選んだだろうし、アメリカにいたらトランプ氏を支持はしなかっただろう。
Kさんが示してくれた協調の心理は、苦労とともに、挫折とともに磨かれるものだろう。
もちろん私は、ホモサピエンスの心理特性の一つとしての「怒り」の重要性を決して否定しない。しかし、環境が複雑になった現代において、その「怒り」がどこからきて、どんな結果を招くかを階層性を高くして思索したうえでの発現でなければならないと思うのだ。