2015/01/06

絵と脳のモジュール構造



ヒトの脳の仕様(スペック)の基本的な特性として、モジュール構造が知られている。狩猟採集時代の生活で出合うさまざまな種類の問題・課題(たとえば、道具や自然界の岩などの“物”に関する問題、とか、人間同士の対人的な問題など)に対処するとき、それぞれの問題の種類に専門化した知能を用いる。つまり、脳には、対物的な問題への対処に特化した回路(モジュール)や、対人的な問題への対処に特化した回路などが存在し、それら互いに、ある程度独立して作動する、という具合である。
車の運転をしながら、助手席の人と話をしたりすることができるのもこの、(互いに独立した)モジュール構造のおかげだ、というわけだ。
このモジュールの種類については研究者によって主張は異なっているが、対物専用モジュールと対人専用モジュール、そして対生物専用モジュールの存在についてはほぼ意見は一致している。

さて、冒頭に私が描いた絵をあげて、なぜこんな話をするかというと、それは、「私は、一枚のスケッチブックの中に動物や人を描きながら、ときどき脳のモジュール構造を感じる瞬間がある」とうことをお話したいからだ。

動物を描くときは、その骨格の基本構造を、対物モジュールで感じながら、それぞれの線に無理がないかどうか脳がチェックする。同時に、それぞれの動物の習性がそこに表されているかどうかを感じながら描く。ヒトの顔を描くときは、髪や目や鼻などのパーツがバランスよく配置されているかどうかを脳がチェックする。同時に、その顔が、思慮深さを備え、かつ異性的な魅力をもつかどうかを感じながら描く。
その上で、全体が、四角な空間の中で、奥深く調和的に収まっているかどうかに注意しながら描く。

結構、うまく描けたじゃないか。そう思ったので、私は、その絵に色をつけ年賀はがきに使ったというわけだ。

オシマイ

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