上の絵は、私が、ある雑誌に動物の話を連載したときに描いたイラストである。
動物の話というのは、もう今から20年以上も前、友人から預かって面倒をみていたオオコウモリ(コウモリは、ごく大まかに分けると、熱帯周辺に多く生息している、顔がキツネのようなオオコウモリと、温帯を中心に生息している、外界認知に超音波を使う小型のコウモリになる)についてのドタバタの中に科学性が光る、面白くて勉強になる話である。
やがてその連載は、「ヒト、動物に会う : コバヤシ教授の動物行動学」という本になった。面白がって勉強されたい方は是非読んでみよう・・・・と、ひとまず宣伝して気が済んだので、では、次の写真を見ていただきたい。
写真の、丸太とタオルの間に橋をかけるように、あるいは平行棒での体操のように、腹筋を使って頑張って姿勢を保っている小型のコウモリ。
その名は・・・ユビナガコウモリである。
研究のために飼育していた個体が見せてくれた一場面だ。
基本的には下向きにぶら下がった格好のコウモリたちが、小●が顔にかかるのを避けるために、上の(イラストの)コウモリはちょっとした恥ずかしさを耐え、下の(写真の)コウモリは四肢と腹筋に力を入れて、けなげに頑張っているのだ。私は、頑張れ!という思いと、貴重な行動を見たという思いと、押さえきれないおかしさを感じつつ見守ったのである。
コウモリたちは、哺乳類の基本姿勢に革命を起こす“逆さ姿勢”を発明したがゆえに、それを維持するための、隠れた努力も続けているのである。
いい話ではないか。
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