鳥取環境大学の本部棟の玄関には、コシアカツバメが巣をつくっている。
私は、春になると南方から繁殖のためにやってくるかれらの様子を、ここ6年間、じっと見続けてきた。
最初は一番だったコシアカツバメも今では、四番ほどに増え、大学の玄関以外の場所にも巣をつくりはじめた。
私は彼らの繁殖を心から応援している。
彼らを応援する理由はたくさんある。
その理由の一つは、彼らが、鳥取県では珍しい種であり、鳥取県のレッドリストには、絶滅危惧Ⅱ類として、その保護が謳われているからである。
そんなコシアカツバメが、開学間もない大学(2001年に開学した)にやってきて繁殖してくれていることに喜びと責任を感じているのである。
さて、一週間ほど前、私は、鳥取県中部の、ある町に、学生のYmくん、Ynくんと一緒に行った。
細かい状況は省略するが、上で見守る二人の心配をよそに(たいへん心配していた、と後から聞いた)、私は、ものすごい勢いで水が流れる水路の中に、ものすごい気合でもって入っていったのである。
流れに足をさらわれないようにつま先に渾身の力を込めて、一歩一歩と進んでいった。
そして、その中で見たものは、側面に並んでつくられたコシアカツバメの巣だった。それが下の写真である。
ツバメ(ツバメやコシアカツバメ、イワツバメなど)に詳しい方は、「イワツバメの巣ではないか」と思われるかもしれない。
でも、これらのツバメすべてに造詣が深い私が言うのだからまず間違いはない。その構造から見てコシアカツバメの巣だ。
実は、私が期待していた動物はコシアカツバメではなく、ツバメのようにサッソウと空を飛ぶ、別の動物だったのだが、それはまーいいとしよう。
とにかく見つかったんだ。コシアカツバメの巣が。
きっと、また今年もやってくるだろう、と思いながら、「じゃー、帰ろう」としたその瞬間である。
流れに向っていた脚を、流れと同じ方向に向けかけたとたん、私は、自分がとんでもない状況に直面していることに気づいたのだ!
水流に向うときは、脚はまだ踏ん張りやすかった。
ところが、脚を、水流と同じ向きにしたとたん、踏ん張りは全く利かず、“ものすごい”流れに流されそうになったのだ。
片脚はまだ流れに向けて踏ん張っていたので、なんとか流されなかったが、いったいどうやってもどればいいのか。水位は膝の上まである。下手をすると溺れてしまう。どうすりゃいいの!!
脂汗が出てきた。
でも結局、沈着冷静、慎重決断の私である。
しばらく考えた後、ある方法を考え出した。
「そうだ!水流に向って遡上してきた(鮎じゃないけど)、そのままの格好で、ゆっくりゆっくり後ずさりすればよいのだ」(まーだれでもそう思うだろう)
それから私の本当の、水流との格闘がはじまった。足を引きすぎると流されそうになる。だから少しずつ少しずつ、ゆっくりゆっくり後ずさりして、(何度かヒヤッとすることがあったが)無事、安全な場所までたどり着いたのである。
上で見ていた二人が言った。
「流れが速いから、先生、もどってくるときどうするのだろーと思って心配していました」
そうか、彼らにはわかっていたのか・・・・。
読者の皆さんにくれぐれもご注意する。
ものすごい水流の水路に入るときは、進むときよりもどるときのことを考えてから決行の判断を下したほうがよい。間違いない!
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