ある日の昼、大学の裏山につくっている実験用野外ケージに行くと、何を思ったのか、ニホンモモンガが巣箱から顔を出して、私を見つめてきた。
「おじさん、何してるの?」
みたいな感じで。
私は、はっきりと声に出して言った。
「おまえさん、何してるの?」
夜行性のモモンガが何で今頃、顔を出すの?
何で私をそんなに見つめるの?
何で巣箱のベランダにへばりつくように、リラックスしているの?
やがてモモンガは私について、彼女(そのモモンガはメスだった)なりに納得したのか、巣箱の中にさっと引っ込んだ。
私は、「それでこそモモンガ」と思ったが、でも、「もう少し顔を見せていてほしかった」と心から思った。
繊細な乙女心のような、微妙な気持ちなのである。
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