「イヌとネコのどちらが好きか」と聞かれたら、私は迷うだろう。そのときの気分ににもよるだろう。無人島とか、宇宙船に連れて行くとしたら、イヌだろうか。
いっぽう、「どちらの絵を描きたいか」と言われたら、これもそのときの気分にもよるが、ネコと答える場合のほうが多いと思う。
魅力は、その体の滑らかさが作り出す曲線だろう。それと曲線美とフィットする、その身のこなしである。
「描く」という作業において、手と脳を喜ばせてくれるのだ。それは、過去の美術作品に、ネコのほうが多いこととも無関係ではあるまい。
話は変わるが、最近、「動物の、遺伝子が深く関与する(つまり遺伝子が設計図として働いて、その習性を発現させる脳の回路が作られる)習性は、どれくらいで変化するのか(つまり、進化はどれくらい速く進むのか)」という議論が、一部の科学分野で話題になっている。
それは、これまた最近、アメリカ発祥の健康法「原始に帰れ(パレオファンタジー)」とも深く関係する。
パレオファンタジーの考え方は、次のようなものである。
「現代人の行動や心理、感情、生理(消化や呼吸などの特性)は、ホモサピエンス史の99%を占める狩猟採集時代に適応しているはずで、1%の“文明”の時代の、急速に変化した環境にはに適応していない。だから、できるだけ“原始(の食生活)に帰”ったほうよい(もちろん、現代の、医療なども含めた科学技術はそのままにして、だ)」
そこから生まれた健康法の一つが、「低炭水化物摂取」であり、「人は走るようにできている(Born to run)」である。
いっぽう、それに対する反対の意見が科学者の中から出ている。
「動物の、遺伝子が深く関与する(つまり遺伝子が設計図として働いて、その習性を発現させる脳の回路が作られる)習性は、かなり速く変化することが最近の研究でわかってきた。だから、われわれも、1%の“文明”の時代の、急速に変化した環境に、かなり適応もしているはずだ」
どちらの見方が妥当なのか。
私の意見は、「それはその習性の種類(少し具体的に言えば、その習性の設計図になっている遺伝子の数や関わり方)による」というものだ。つまりケースバイケースだと思う。
たとえば、いろいろなイヌやネコを見ていて、“無人島とか、宇宙船に連れて行”きたくなるようなイヌの習性のネコが現れてくるのは、けっして簡単ではない。かなり時間がかかる、と思う。
その体の曲線美に魅せられて絵を描きたいと思うような体つきや身のこなしのイヌが現れてくるのもかなり時間がかかると思う。
いっぽう、これは専門の方にお聞きしたいのだが、私の飼っていたイヌはご飯も芋もよく食べた。それは、「純肉食だった祖先種(野生種)は炭水化物の消化酵素をほとんど持っていなかったのだが、人に変われるようになってから、遺伝子の変化が起こり、炭水化物消化酵素の大量生産ができるようになった」ということを意味するのだろうか・・・。
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