小林朋道公式ブログ:動物行動学者。野生生物と3日ふれあわないと体調が悪くなる。 主な著書は『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます! 』、『通勤電車の人間行動学』、『人間の自然認知特性とコモンズの悲劇』など
2017/06/25
いや、私に唸られても私はあなたの飼い主じゃなく、たまたま隣に駐車した人だから、出してあげられないんだよ。それと、目はちゃんと開けたら。
ラベル:
イヌ
動物行動学者。野生生物と3日ふれあわないと体調が悪くなる。主な著書は『通勤電車の人間行動学』、『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます! 』、『人間の自然認知特性とコモンズの悲劇』、『ヒトの脳にはクセがある』など
2015/07/15
ヤギの擬似妊娠!イヌの擬似妊娠!ヒトの擬似妊娠?
先月、出版した本「先生、洞窟でコウモリとアナグマが同居しています!鳥取環境大学の森の人間動物行動学」(築地書館)を読んでいただいた方から手紙が届いた。
その中に、私が本の中で書いた話に関連した、とても興味深い出来事が綴られていた。
“私が本の中で書いた話”というのは、次のような内容である。
昨年の4月に大学にやってきたヤギ(メイという名前)が、すでにやってきたときには妊娠していたらしく、8月に2匹の仔ヤギを出産した。ところが、メイの出産から授乳の開始に至る出産・育児にすぐそばで立会っていた高齢のヤギ(コハル)が、自分は子どもも産んでいないのに、乳房が張ってきて、結局、乳を出しはじめ、仔ヤギたちの乳母になった。
手紙をくださった方の経験は次のような内容である。
独身時代から実家でトイプードルを飼われていたのだが、結婚され、出産され、赤ちゃんと一緒に実家に里帰りされた。ところが、母子の、授乳も含めたやり取りに接していたトイプードルの乳房がだんだんと張ってきて、心配して獣医病院に連れて行ったら、なんと乳が出る状態になっていた。獣医さんは「擬似妊娠」だと言われたということだった(的確な表現だ)。
イヌはヒトと同じ“哺乳類”であり、乳の臭い、赤ん坊が乳を吸うときに出る音、赤ん坊が乳を求めて泣く声・・・・いろいろよく似ているのだと思う。ちなみに最近の論文で、多くの種類の哺乳類の赤ん坊の鳴く声が、種の違いを超えてとてもよく似ていることを示したものがあった。
トイプードルの脳も、ヒトの授乳に伴なうさまざまな刺激に反応してしまった、というのが最も可能性がある解釈だろう。
イヤー、面白い。手紙をくださった方へはもちろんお礼の葉書を書いた。
われわれヒトが、子どもを産んだ母イヌの授乳の現場で、チューチューと言う音や、まだ目もあいていない子犬が乳首を捜しながら出す声には、確かに心動かす(正確には脳動かす)ものがある。
敏感な方、特に敏感な女性は、“擬似妊娠”に気をつけたほうがいいのかもしれない。
動物行動学者。野生生物と3日ふれあわないと体調が悪くなる。主な著書は『通勤電車の人間行動学』、『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます! 』、『人間の自然認知特性とコモンズの悲劇』、『ヒトの脳にはクセがある』など
2015/06/05
除草中のヤギvsイヌ(動画)
今日、以前から依頼されていた田んぼの畦の「ヤギ除草」に行った。
「ヤギ除草」とは言葉のとおり、ヤギに草を食べてもらい、人手を使わずに草の管理をするという作業である。
詳しいことは省略するが、大学の軽トラックにヤギ運搬専用の小屋を乗せ、その中にヤギと部員が乗り込み、現地まで移動する。
そこでヤギ達が降ろされて、伸び放題の草を食べる、という具合である。
もちろんヤギは機械ではないので、好みの草、周囲の車の走行、カラスの飛翔、人間のの往来、足場の状態、などなど、いろいろな状況に反応して、ヤギの生存に有利な行動を柔軟に行う。
がむしゃらに、ただただ草を食べるわけではないのである。
従って、ヤギという動物の習性をよく知った上で、状況を設定してあげなければならないし、除草だけを期待するのではなくヤギと楽しんで触れ合う気持ちを持つことも大切である。
さて、今回、の除草中に起こったハプニングは面白かった。
除草していた2頭のヤギ達が、突然、すくっと首を上げ、2頭とも同じ方向を見つめ、耳も同じ方向を、パルボラのように向けたのだ。
部員達と私も、ヤギ達が定位したその方向を見て、遅ればせながら理由が分かった。
地元の方が、イヌの散歩をされていたのだ。
そして田んぼから離れて、田んぼに沿った道路のほうに出て、道路の反対側にいる2匹のイヌを注視しはじめたのである。
尾を上げ、背中の中央を走る毛列を立て、明らかに緊張している。
その後、このままイヌが離れてほしい、というわれわれの希望に反して、飼い主の方はわざわざ、道路を渡って、ヤギのほうへ近づいて来られた。
さて、イヌも、攻撃的ではないが、ヤギに興味津々である。
ヤギも、もちろん、怖さと好奇心(そして、幾ばくかの防衛的攻撃心)が入り混じった気持ちで近づいてくるイヌに、逃げることなく対置した。
その時の様子の動画をお見せするので、ヤギvsイヌのやり取りをご覧いただき、彼らの行動についていろいろな推察をしていただきたい。
ちなみに、ヤギは、イヌとの見合いの中で、前肢をトンッ!とつく威嚇的な動作を数回行った。
私もいろいろ面白かった。
で、結局、除草はどうなったか?まー、これから何回か通えば、ある程度の結果は出るだろう。
動物行動学者。野生生物と3日ふれあわないと体調が悪くなる。主な著書は『通勤電車の人間行動学』、『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます! 』、『人間の自然認知特性とコモンズの悲劇』、『ヒトの脳にはクセがある』など
2015/03/19
イヌに叱られた(動画)
最近、American Naturalistという雑誌に、次のような記事が掲載された。
*
哺乳類の子が助けを求める鳴き声は驚くほどよく似ている
高音の鳴き声が響き渡ると母ジカが駆け寄って子どもを探した。しかし、その音声は、子ジカの鳴き声ではなく、スピーカから出たオットセイの鳴き声だった。
カナダの生物学者リングルとリーデは、母ジカにマーモットやオットセイ、イエネコ、イヌ、ヒトの子どもの泣き声を聞かせ、母ジカが、どの音に対しても、子どもを探すようにスピーカーによってくることを発見した(鳥の声やコヨーテの吠え声には関心を示さなかった)。
著者らは、哺乳類の子が助けを求める鳴き声は、周波数をはじめとして、共通の特徴があると考えている。
*
確かに我々(ヒト)も、イヌやネコの仔が泣いている声を聞くと、助けずにはおれないような気分になる。
ところで、皆さんは、ヒトももちろんだが、ヒト以外の哺乳類が勢いよく何かを食べているのを見ると、自分もそれを食べたくなる、といった経験をされたことはないだろうか。
私の経験では、イヌもヤギも鳥も、ある個体が餌を見つけて食べはじめると、他の個体が必ずと言っていいほどそれに気づいて、その個体の傍にやってきて、餌を食べようとする。
ヒトでも、何かを食べているヒトは何やらすぐ目につき(耳にもつき)、気になってしまう、という印象がある。部屋のドアをノックしたとき、あるいは電話したとき、相手が何かを食べていたりすると、いくら隠そうとしても、「あーっ、何か食べているのか」と分かってしまう。
おそらく、だれかが食べているということは、そこに食料がある可能性が高いわけだから、食べる口の動きや音に敏感な脳をもった個体のほうが生き残りやすかったのだろう。
そんな予測を私はしているのだが、はたしてどうだろうか。
私が小学校の低学年くらいのころ、家でイヌを飼っていた。名前はトムといった。
毎日私が餌をやっていたのだが、ある夜、炊き立てのご飯に、味噌汁をかけたものを、トムにもっていってやった。
すると、トムは、それは美味しそうにすごい勢いで食べるではないか。
まだ夕食を食べていなかった私は、トムが食べるのを見たり聞いたりしていて無性に食べたくなって、そっと容器からご飯を取ろうとした。
するとだ。なんと、トムが、ご飯を食べながらの状態で、ウーーーッとうなったのだ。
私ははっとして、横取りをやめ、大人に叱られた子どものような、情けない気持ちになったのだ。ショックだった、といってもいいだろう。
「ショック」の中には、その行為を非難されたという事実と、それから、私は、トムの本当の意味での飼い主(つまりボス)にはなっていなかったのだという(子どもながらの)思いが含まれていたと思う。
今から思うに、小林少年がその行為にいたった背景には、「ヒトももちろんだが、ヒト以外の哺乳類が勢いよく何かを食べているのを見ると、自分もそれを食べたくなる」という、社会性の動物には本能的に備わっている性質が関与していたのではにだろうか。
くどいようだが、「ヒトももちろんだが、ヒト以外の哺乳類が勢いよく何かを食べているのを見ると、自分もそれを食べたくなる」という、社会性の動物には本能的に備わっている性質・・・・、下の動画を見て、その存在に思いを馳せていただきたい。
動物行動学者。野生生物と3日ふれあわないと体調が悪くなる。主な著書は『通勤電車の人間行動学』、『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます! 』、『人間の自然認知特性とコモンズの悲劇』、『ヒトの脳にはクセがある』など
登録:
投稿 (Atom)




