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2016/12/11

グレよ。ちょっと荒れているが君の故郷の海だ。さあ、力強く旅立て。いや、旅泳げ、かな。


ゼミ室の海産水槽内で我々を楽しませてきてくれた魚(グレ)が大きくなりすぎたので、もとの海に返すことになった。

「グレを返す会」には、主催者発表で約5人のゼミ生が集まり、思い思いの表現でグレとの別れを惜しんだ。
天候は小雨、海は大荒れという、海での別れには最高の天候となり、参加者たちは、大波がしぶきを上げて舞い上がる埠頭をびしょ濡れになりながら走り抜けたり(危ないじゃん!)、グレの帰っていった海を背景に記念写真を撮ったりして、盛り上がっていた。



2016/11/18

スナヤツメの怖そうな歯・・・・、残念ながらそれが使われることはない.


写真の中の、なんだか怖そうな魚、皆さんはご存じだろうか。先日、鳥取市の、とある樋門の前で網に入った。

その正体は、3年間の砂の中での幼生時代を経て、変態し、姿を現したスナヤツメの成体である。

その勇猛な姿にもかかわらず、成体は11月ごろから翌年の3月ごろまでの半年足らずしか生きず、その間、餌は全く食べないと言われている(腸が使い物にならないくらい退縮しているのだそうだ)。

立派な歯は働くことなく終わるというわけだ。

・・・・でも、実は、私はその通説にちょっと疑問を感じている。なぜこれだけ立派な歯が残っているのだろうか? 本当に、その退縮した腸は機能しないのだろうか?

2016/10/09

スナヤツメ・・・リアルモンGO


さて、今年も3か月ほど残すばかりとなり、クリスマスが音をたてて迫ってきた。

わたし的にはこれからの時期は、スナヤツメの成体が川をさかのぼりはじめる”スナヤツメ遡上の季節”である。

3年ほどの幼生の時期(下の写真は孵化後1年未満の、長さ4センチ程度の幼生である。水底の砂の中から出ることはなく、目も皮下に埋もれて見えない)を過ごして変態(魚なのに変態するのだ)を生き抜いて長さ20センチ近くなった成体が、来年の春の繁殖のために川を上り、小川に入り、産卵に適した水場を探すのだ。

冒頭の写真、7つの鰓と、本物のきりっとした目、銀色の体。
スナヤツメの成体が網に入ると私はその姿に畏敬の念さえ感じる。ツキノワグマの親子などとは異なる命の輝きがあるのだ。



ポケモンGOの次は、少しだけの装備(水に入る長靴やたも網)も必要だが、リアルモンとのふれあいGOしてはどうか。

新しい体験と出会えますよ。


2016/09/13

魚と意識



上の写真は、先日、鳥取県と岡山県の県境、右手峠の谷川の住人、カワヨシノボリである。

いかにも私に向かって威嚇しているような姿である。
実際、ヨシノボリの仲間は、雌の産卵場所として雄が一生懸命水底に掘る穴をめぐり、雄同士が口を大きく開け合って威嚇しあう。

ところで数年前、「魚は痛みを感じるのか?」という本がアメリカの生物学者ブレイスウエルトに出版され、世界中で話題になった。

「”自分”以外の動物が痛みを感じるかどうか」なんて、自分以外にどうしてわかるのか。
もちろんそれは不可能だ。でもわかりやすい例で言えば、たとえば、次のような実験で、間接的にその可能性の高さを示すことはできる。

ハツカネズミに、腱鞘炎を起こ薬を与える。
果たしてハツカネズミは四肢に痛みを感じているだろうか?
まず、ハツカネズミが好む砂糖水を入れた容器を2つ用意し、一方には鎮痛剤と苦い味の物質も加えておく。すると腱鞘炎ではないハツカネズミは砂糖だけの水しか飲まないのだが、腱鞘炎を起こす薬を与えられた個体は、鎮痛剤と苦い味の物質も加えられた水も飲むようになる。

魚でも同様なアイデアに基づいた実験(少々複雑)が行われ、「痛み」を感じている可能性が高いことが示されたのだ。(もし魚の痛みを配慮すれば、養殖場などでの設備や魚の扱いは変更を迫られるだろう)

さて、上の写真・・・魚は私に怒りを感じているのだろうか。
そしてその可能性を調べるよい方法はないものだろうか。



2016/07/15

Oくんが釣ってきた大きなナマズ


Oくんが、ナマズを釣ってゼミ室の水槽に入れています、と教えてくれたので見に行った。

でかーーいナマズだった。

水槽に入れられて気分が悪くなったのか、食べていたものを吐き出していた。
写真のナマズの下に見えるだろうか。たくさんの、ドジョウが、そして数匹のカエルが水底に横たわっていた。

その大きな口で、丸呑みしたのだろう。食べ物の表面に外傷は見えなかった。

こんなナマズを見たとき人はどんなことを思うのだろうか。

共通しているのは「生きている動物がいる!」という最初の認識だろう。
そして、童話の中の擬人的な”ナマズさん”を感じる人もいるだろうし、鳥獣をも食べる魚といった”未知の巨大生物”ふうの感覚で眺める人もいるだろう。
食べたらおいしそうとか、それを生かした経済的な対象として見る人もいるかもしれない。

私は、地球上の一野生動物として、太いヒゲや食べていた餌なども含めたその形態や行動の意味を淡々と考える。この作業が結構楽しくて深いんだよね。

2015/11/25

Nくんと絶滅危惧種のスナヤツメ


 先日、ゼミ生のNくんと、スナヤツメという、現在、大変希少になってしまった魚の生息地に行った。生息地の水場の底土を採集するためだ(実は、Nくんがかなり前に、労力をかけて底土からつくっていた実験に使う土標本を、実験室の大掃除のとき、それとは気づかず私と他のゼミ生たちが捨ててしまったのだ)。

 スナヤツメは、「顎の骨がない」という、現在の硬骨魚の祖先の形質を今に残す原始的な魚で、 現在、生息地の減少からとても希少な動物になっている。
 孵化してから数年間はアンモテーシスと呼ばれる幼生期を経て成魚になるという奇妙な特性も備えており、その幼生が砂の中にもぐって生活しているのでスナヤツメと呼ばれるのだ。

 そういう意味もあり、彼らがどんな生息地を好むかを知ることは、絶滅危惧種の保護のために重要なことだ。

 幼生が生息できる環境に関してこれまでわかっていることは、粒径がとても小さい砂の堆積する水場が必要ということだ。
 いっぽう、Nくんが、実験を通じて新たに見いだしたことは、小さい砂の中に、葦などの植物の枯葉断片が混じっていると、幼生はさらに喜ぶ(つまりそちらのほうをより好む)ということだ。

 確かに、これまで見つけてきたスナヤツメの幼生が生息する水場周囲には大抵、葦が繁茂している。
Nくんの発見は、スナヤツメの生息地の保全という意味でも重要な発見になる可能性があると思っている。


左側がスナヤツメの幼生、右側がドジョウ.一見似ているが全く別の種類だ


 今頃Nくんは、採集してきた底土から、粒径の大きさ別に分けた標本をつくる作業を、黙々とやっているに違いない・

2015/09/25

(動画)ナガレホトケドジョウが棲む谷川の、癒しの風景を音付きでどうぞ!


先日、学生たちと一緒に、ナガレホトケドジョウの調査に行った。
 ナガレホトケドジョウはその名のとおり、ドジョウの仲間だが、体型は、谷川の急流を遡ることに適応したような、細長くて平たい精悍な(?)体と精神をもっている。

 他の魚類はとても棲めないような、河川上流の、細くて急な谷川で生きる希少野生動物なのである(当然、環境省のレッドデータリストでは残念ながら最も絶滅の危機が高いレベルに指定されている)。

 さて、学生達は、下のような谷川で、ナガレホトケドジョウをできるだけ多くマークし、個々の個体が、急な谷をどのように移動し生活しているのかを調べている。




急な谷では、降雨のときなど、激しい流水が起こり、魚たちを下方へ流す力が働く。魚たちが遺伝的な多様性を保持しながらその谷で生きていくためには、小さな滝のような流れを遡ることが不可欠なのだが、谷川での彼らの移動実態については何も知られていない。


 ところで当日はとても気持ちがよい日で、谷川のせせらぎや夏の終わりを惜しむ蝉の声などを聞きながら作業をしていると、ほんと・・・・癒される。


 これを読んでくださっている皆さんにだけ、その映像と音の風景をお届けしたい。
 
 もう一つの動画は皆さんへのサービスで、ナガレホトケドジョウを一時捕獲するためのトラップとそれに近づくナガレホトケドジョウの映像である。

 デハオヤスミナサイ


  

  

2015/08/17

海産水槽の動物達のこと・・・いや、他の動物のことも、ナントカシナイト!




 ゼミ室の海産水槽は、今日も健やかだ。
 サンゴイソギンチャクとスリスズメダイとクマノミとホンソメワケバラは、その美しい姿を見せながら、水槽の前に立つ人間に餌を求める。
ゼミ生は、毎日、白板で情報交換しながら、多すぎず少なすぎない餌を与える。
私はときどき、ゼミ室に行って、学生たちと会話し、水槽の中の動物の写真を撮る。

アメフラシは一週間置きくらいの頻度で、せっせせっせと卵を産み、その一部を、魚たちが食べる。

白板には、「アメフラシの餌の海藻がほとんどなくなりました」と書かれ、それを見た私は横に、「了解、干し青海苔を買ってきます」と書き加える。

ところで先日(一日、ニホンモモンガの巣箱をつけに学生達と調査地に行ってきて、その後、研究用のコウモリやシマリスたちに餌を与え、それからゼミ室に立ち寄ったのだが)、ちょっと気になるメッセージが白板に書かれていた。
「今度の大学全館停電の日、どうしますか?」・・・と。

それはちょと困った。
海産水槽の水の循環が止ってしまう。酸素や水温が困ったことになる。
私も考えなければならない。

そういえば、ちょと健康面に問題があるヤギに薬を与えなければならない。
里山生物園(https://www.facebook.com/machicam.satoyama)のミチコという名のカナヘビが卵を産んだ後、痩せてきているそうだ。

こうして、気がついたら動物ずくしの私の一日が過ぎていくのだ。

でも、とりあえず海藻と、停電のことと、ミチコさんのこと、ほんと、なんとかしないと。

2015/05/22

サンゴイソギンチャクを救ったグレの話


矢印の先にサンゴイソギンチャクがいる.真ん中の魚がグレである.

春の海岸とイソギンチャクとクマノミと」でお話した、海から採取してきたイソギンチャクの話である。

その後、徐々に、ゼミ生のNさんは、イソギンチャク(現在のところ最も可能性がある種名は、サンゴイソギンチャクとミドリイソギンチャクということになっている)に憑かれたように観察するようになった。
実験とネットで明らかになったことを、他のゼミ生や私に、いろいろ教えてくれる。

 釣り好きのOくんがゴカイをサンゴイソギンチャクに与えたところ、動くゴカイを触手でしっかりと掴み、みるみる“口”のほうへと運んでいったという。すごかったらしい。

 ちなみに、サンゴイソギンチャクは、“口”の内部(胃水管腔と呼ばれる)に消化液を出し、それが“口”から染み出て、口のところまで運ばれた獲物を溶かす(つまり消化する)のだという。

 Nさんは、私がイソギンチャク用にと買って、冷凍庫に入れておいたアジを、小さな切れ身にして、その切れ身を二つ、サンゴイソギンチャクに与えた。すると口のほうへ運んでいったのだが、どうもイソギンチャクの様子がおかしくなってきたという。

 あとで分かったことだが、獲物が大きすぎると、胃水管腔に放出された消化液が“口”から染み出てすぎて、獲物ばかりか、自分の体まで溶かしてしまうことがあるのだそうだ(へーっ)。
 アジの二切れは、まさにそういう状況だったようで、つまり、サンゴイソギンチャクの“口”の周囲は、アジを溶かしても余りある自分自身の消化液によって溶けはじめていた可能性があったのだ。
 アジがある以上、それが刺激となって消化液は、どんどん胃水管腔に放出されると考えられる。

 さて、そのとき、どこからともなく現われ(Nさんはそんな表現はしなかった。私がその場の状況を創造してちょっと盛り上げているのだ)、その危機を救ってくれた動物がいた。

 その動物こそ、イソギンチャクと一緒にゼミ室の海産水槽に運ばれ、最初は、古参のルリスズメダイに激しく攻撃されつづけた海産魚のグレだったのだ。

 グレは、その後、Ykくんのアイデアと多少の偶然により、水槽内に逃げ場を見つけ、徐々に力をつけ、現在はルリスズメダイからも攻撃されることがなくなっていた。

 そのグレ(ちなみにグレの種名はグレである)がどのようにしてサンゴイソギンチャクを救ったか。

 それは、グレがサンゴイソギンチャクにとって大きすぎたアジの切り身を取って行ってくれたのだそうだ(単に餌を食べただけじゃないか、と思われる方も多いと思うが、まー、ここは一つ、まー、ということで)。

 Nさんの観察によると、サンゴイソギンチャクの“口”からそとに漏れていた消化液は粘液性で、グレが切り身を取っていくとき、納豆のように糸を引いていたという(この表現もNさんの口から出たもではなく、私の勝手な言い換えだ)。
 グレはその糸を嫌がっていたそうだ。おそらく味がまずいのだろう。

 Nさんはグレにたいそう感謝している。

 でも、これは私の予想だが、グレが大きくなったら、Nさんは、きっと「グレを食べよう」と言い出すにちがいない。

2015/05/18

NくんSくんのスナヤツメの生態研究に期待する!



細くて体の前側の腹部(ここに鰓がある)が赤い個体が幼生で、大きくて、眼がぎょろっとした個体が、幼生が変態した成魚である。眼の後ろに7つの穴(鰓穴)があり、それを眼とみなして、ヤツメと呼ぶ。

 先日、ゼミの学生のNくん、Sくんと、スナヤツメがたくさん生息する、大学の近くの水場に行った。
 
 そこは、排出樋門(川から田んぼなどに引いた水を、また川に戻す出し口)の前の水場で、湧水も混じって、スナヤツメにとって好適な条件が揃っているのだ。

 ちなみにスナヤツメの語源は、幼生(魚ではとても珍しいのだが、幼生期と変態後の成魚期の両方をもつ)は、3年ほど砂の中で過ごすことによる。ヤツメの語源は、上の写真を見ていただきたい。
 河川改修などに伴い、絶滅が危惧されている貴重な魚類だ。

 水場に行ったのは、スナヤツメの幼生が、水底の砂の、どれくらいの深さで過ごしているかを調べる実験の試行のためだった。

 されぞれがアイデアを出し、苦労して考案・試作した装置を、水底の状態を、あまり乱さないようにしながら埋め、そこにさまさざまな体長のスナヤツメを放したのだ。

 その装置を使って調べることは、水底の砂の状態を乱さないで、深さ別に層を切り出し、スナヤツメがいる層を明らかにするということだ。もちろん各層の、溶存酸素量、砂の大きさの割合、含まれる枯葉断片の量なども調べていく。


試作品のでき?

 うー、もちろん改良点はたくさんあったが、基本的には、いけるんじゃない。
 結果は、二つの層でスナヤツメが見つかった。

 試作品を改良して、作業を続けていけば、季節的変動や体長との関係なども含めて、スナヤツメの生物学的生態特性や生息地の保全のための価値ある知見が得られるかもしれない。

 NくんやSくんなら、きっとやってくれるにちがいない。やってくれると思う。やってくれるんじゃないかな。

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